
Beyond EXPO 2025の策定時期
- 先の我が会派の代表質問でも「Beyond EXPO 2025」について質問しましたが、深堀して質問します。本年9月に副首都推進本部会議が開催され、「Beyond EXPO 2025」の骨子案が示され、令和7年度中に戦略をとりまとめていくこととされています。
Beyond EXPO 2025は、万博後の持続的な大阪の成長・発展を実現するための戦略です。万博開催決定以降、万博に向けて様々な民のチャレンジが行われ、現在、万博会場内外で未来の技術が披露されている。こうした万博の成果を最大限活用し、万博を機に生まれた上昇気流を止めることなく、持続的な大阪の成長につなげていかなければなりません。その意味では万博閉会後、一刻も早く戦略を策定することが重要ではないかと考えるが、どのように考えているのか、成長戦略担当課長にお伺いします。
- (成長戦略担当課長)
○ Beyond EXPO 2025は、万博のインパクトを最大限活かし、万博後の持続的な成長・発展や府民の暮らしの向上につなげることをめざすもの。
○ 万博の開催により、世界中から人・モノ・情報が大阪に集まり、ビジネス面では、会場内外での最先端技術・サービスが披露され、海外ミッション団との商談会・展示会の開催により、ビジネスチャンスが拡大している。
○ また、世界を魅了するイベントの開催等を通じた大阪の魅力発信や、国際交流の活性化により、世界の中での大阪の認知度が高まっている。こうした万博の効果を、レガシーとしてしっかり継承し、大阪の成長につなげていくことが重要と考える。
○ Beyond EXPO 2025の策定にあたっては、今後、万博の成果を踏まえながら、予算編成上の議論などを経て、具体的施策について検討を深め、今年度中にとりまとめてまいる。
- 実行段階への移行を目指していると受け止めましたが、閉幕から残務処理をしている間も助走期間と位置づけ、空白期間が長く発生しないよう、着実に取組を進めていくよう求めておきます。
官民学の連携
- さて「Beyond EXPO 2025」は、万博のレガシーを受け継ぎ、持続的な大阪の成長・発展に向け、オール大阪が進むべき道筋を示す指針となるものです。万博では、民間企業や大学など様々な主体が先端技術を披露するなど、それぞれ未来社会に向けたチャレンジを行ってきましたが、こうした民のチャレンジを後押しすることで、万博後の成長を実現していかなければならないと考えます。その意味で、新たに作成する戦略は、産官学の各主体が、万博後の大阪の成長に向けて目標を共有するものでなければならないと思いますが、どのように考えているのか、成長戦略担当課長にお伺いします。
- (成長戦略担当課長)
○ Beyond EXPO 2025は、万博後の持続的な成長・発展と府民の暮らしの向上を図るため、今後大阪が進むべき道筋やその実現に向けた具体的取組みを明らかにし、オール大阪で実行していくことをめざすもの。
○ (委員お示しのとおり)万博では様々な先端技術が披露されており、そうした民のチャレンジをしっかりと後押しし、万博で披露された技術を実装化・産業化につなげるなど民間の活力を最大限に発揮できる環境づくりが重要。
○ このため、戦略策定にあたっては、在阪経済3団体などとの議論を行いながら検討を進めており、今後成案化に向け、具体的な施策に関し、経済界や大学、地元市町村などとの意見交換を踏まえ、とりまとめていく予定。
○ 本戦略を策定することにより、官・民・学によるオール大阪で、万博後の成長に向けた目標を共有できるようしっかり連携を図っていく。
- 官・民・学でそれぞれ目標を共有し連携していくとのことでした。 民間の活力を最大限に発揮いただくためには、産業別・地域別に目標を分けて共有していくことも一つと思います。例えば、ライフサイエンス、グリーンエネルギー、観光・MICE、エンタメ等に対し、短期(3年以内)、中期(5年)、長期(10年)の市場規模と投資額、雇用創出を示すことで、それぞれの効果や進捗を確認でき、それぞれの関係者も動きが作りやすくなっていくと思いますので、環境づくりを求めておきます。
成長に向け重点的に取り組む分野、取組みの柱
- 先の我が会派の代表質問では、名目GDP80兆円を10年前倒し、2040年代に達成するためのアプローチについて質問を行いましたが、これについても詳しく質問したいと思います。
骨子案では、2040年代に「名目GDP80兆円」を実現するためには、実質経済成長率年平均2%を達成しなければならないと示されています。これに対し、コロナ前(2012年から2018年)の大阪の実質成長率は、年平均で約0.7%にとどまっているとのことです。
国においては、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算(2025年8月)」における「成長移行ケース」で実質成長率1.5%と試算しているが、年平均2%成長の実現には、更なる上乗せが必要であり非常に高いチャレンジングな目標と感じています。年平均2%成長の実現に向け、具体的にどのような分野でどんな取組みを行うのか、成長戦略担当課長にお伺いします。
- ○ 国においては、賃上げと投資がけん引する「成長型経済」への移行をめざして、投資立国の実現、スタートアップの育成、科学技術・イノベーション力の強化などに官民が連携して取り組むことにより、成長移行ケースで実質成長率1.5%前後を実現すると試算している。
○ 実質成長率平均2%の実現に向けては、国がめざす「成長型経済」に積極的に取り組むとともに、大阪の強みや万博のレガシーを活かした「大阪独自の取り組み」として、ライフサイエンスやカーボンニュートラル、インバウンドなどの成長分野に注力していく。
○ それらの分野の市場について、例えば、再生医療等製品分野においては2020年の世界市場1兆円から2050年には38兆円、蓄電池分野においては2019年の世界市場5兆円から2050年には100兆円へと、大幅に拡大する見通しとなっている。また、観光分野においては、国においてインバウンド数が、全国で2024年の3,687万人から、2030年に6,000万人にまで拡大することを目標とされている。
○ こうした、市場の拡大が見込まれる成長産業分野において、大阪の獲得市場の拡大が重要。このため、万博で披露された新技術等の実装化や、スタートアップの創出・成長の促進などに取り組む。また、観光分野では、IRを核とした国際観光拠点の形成や大阪の個性を活かした新たなエンターテインメントの創出など、訪問者数や消費単価の増加をめざした取組みを実施していく。
- 次世代産業を育成し、大阪経済の成長につなげていくことは一定理解しました。ただ、それは、技術力を有する中小企業や大阪経済を支える基盤産業がしっかりあってこそ実現できるものです。また、先ほどの答弁で成長分野における市場の獲得とありましたが、例えば、再生医療等製品の国内市場は現時点では約1兆円にとどまり、市場が拡大するにはまだ時間がかかるのが現実です。
大阪全体で目標を達成していこうと思えば、既存企業が新技術を実装することや、海外展開に取り組むことで達成していくことが重要です。
また、骨子案での成長分野では、大阪での数字が示されていません。世界・日本に加えて大阪の産業別市場規模や投資額を時期と効果の2軸で提示し、かつ業界や地域ごとにチャンクダウンした目標を示すことで、より立体的になっていくと思いますので、そうしたデータ把握も求めておきます。
既存産業の成長に向けた取組み
- 大阪府内には、約27万の中小企業が立地しており、府内全企業の99.6%を占め、さらに従業員20人未満の小規模事業者は全事業所の約8割を占めている。こうした大阪経済を支えている中小企業の中には、きらりと光る技術を有する企業も多数存在します。大阪の持続的な成長を実現するには、きらりと光る技術を有する中小企業をしっかり支える仕組みを構築していくことも必要ではないかと考えるが、どのように考えているのか、成長戦略担当課長にお伺いします。
- ○ 万博後の持続的な成長に向けては、ライフサイエンスやカーボンニュートラルなどの次世代産業の育成とあわせて、高い技術を持ち、大阪の先端産業を下支えする中小企業の成長を押し上げることも重要。
○ 例えば、400を超える中小企業等が出展したリボーンチャレンジでは、ものづくり企業と先端技術との融合による革新的な製品の展示もなされたと聞いている。
○ こうした点を踏まえ、今般お示しした骨子案では、チャレンジを行う中小企業等を後押しするための施策として、最先端産業を支える基盤技術の高度化やDX等による生産性の向上の促進といった取組み検討しているところ。
○ 今後、関係部局とともに経済界等と意見交換を行いながらブラッシュアップを行い、施策の具体化を図ってまいる。
- 中小企業の果たす役割も大きいことから、商工労働部等と連携し取り組みを進めていただくとともに、また中小企業の売上・雇用・輸出貢献を大枠で調査し、全体目標にも反映いただくよう求めておきます。
成長を支える人材確保・育成
- 持続的な成長・発展に向けては、成長を支える人材確保・育成が必要だと感じています。とりわけ国内外で活躍する高度人材の獲得は喫緊の課題。国内外からの人材確保はもとより、国内でのグローバル人材の育成にも注力していくことが重要と考える。
世界に羽ばたくグローバル人材を育成できる都市であることは大阪の強みとなり、大阪が世界から選ばれ、人材が集積する都市にもつながっていくと考えます。Beyond EXPO 2025の骨子案においても、「グローバル人材やクリエイティブ人材が集積・輩出するエネルギッシュな拠点都市を柱の一つに掲げられていますが、「Beyond EXPO 2025」では成長を支える人材の確保・育成について、どのように取組んでいくか、成長戦略担当課長にお伺いします。
- ○ Beyond EXPO 2025においては、めざす都市像の実現に向け、「経済力」「都市力」を重点分野とすることに合わせ、それを支える基盤として、「人材力」「まちづくり・都市基盤」を取組みの柱と設定したところ。
○ (議員お示しのとおり)大阪の成長の実現には、グローバル人材などが集積・輩出する環境づくりを行い、こうした人材の確保・育成を行っていくことが重要と認識。
○ そのため、今回お示しした骨子案では、国内外からの人材確保に向けた取組みとして、
・インターナショナルスクールの誘致
・クリエイティブ人材を育て、引きつける都市の魅力づくり
などに取り組むとともに、
次代の大阪を支える人材育成に向けた取組みとして、
・大阪公立大学の国際化推進
・府立高校改革によるグローバル人材の育成
などの取組みを掲げているところ。
○ 今後成案化に向け、具体的施策について検討を深めていく。
- 人材の確保・育成については一般質問でも取り上げましたが、商工労働・教育庁とも連携して取り組んでいただくとともに、高度人材においては、ご家族も含む受入れから定着までの切れ目ない支援に取り組んでいただきますよう、求めておきます。
今回、BeyondEXPO2025について確認させていただきましたが、着実な計画推進のために、即時実行性の確保・目標指標のチャンクダウン・市場規模の短中長期分析・また在阪中小企業のチャレンジ支援や人材の育成・確保等々を改めて求めておきます。
そしてその他、経済成長だけでない指標、もう一つの柱である(ウェルビーイング)も重要であり、把握・評価する必要があると考えます。
総合的な住民の幸福度(健康、教育、文化など)をはかるのは簡単ではないことですが、健康寿命、教育充実度、文化芸術参加率などの多面的な指標を設定し、定点観測するなどして見える化していっていただきますよう求めておきます。

- 投稿タグ
- Beyond EXPO 2025, 大阪府議会, 総務常任委員会













