2016-11-14 15.27yuzuriha 先日、『ゆずりは助産院』さん(氷室台)に伏見市長と行ってきました。経緯としては、伏見市長から子育て支援に関し現場の話を聞いてみたいということで話あり、これまでお付き合いさせていただいてきたゆずりは助産院さん、また後にはるか助産院さんに訪問をしてきたものです(はるか助産院については(助産院訪問記2)に投稿します)。
この日2時間近く話しましたが、話したことすべて書くと超長文になるので、ダイジェストでご紹介させていただきます。

目次

  • ゆずりは助産院について
  • ゆずりは助産院の業務
  • ゆずりは助産院で特に大切にしておられること
  • 運営での課題
  • 岩本の意見

では、はじめます。

ゆずりは助産院について

2009年から分娩取扱助産院として開業し8年、これまで111名が出産されてきました。年間15~20件程度のお産を受けています。家族入院はやっていません。5日間を死守してでも赤ちゃんとゆっくりする時間を作ることが大事と考えています。病院への転院率は15~20%で全国の平均転院数とほぼ同数です。ゆずりは助産院自体は閑静な住宅街にあり、入り口は落ち着いた雰囲気でお出迎えしてくれます。2016-11-14 15.10yuzuriha

外観だけでなく、内装も木を基調にしていて、とてもゆったりとした印象となっており、母子にとっても落ち着いて滞在できる空間になっています。2016-11-14 15.30yuzuriha

ゆずりは助産院の業務

ゆずりは助産院では分娩だけでなく、妊婦検診や各種相談業務(妊婦健康相談・母乳相談・育児相談や電話相談・健康相談など)、新生児訪問など産前産後に関わる仕事が多いです。枚方市独自の取り組みとしての産後入院(産後ケア)の受け入れも行っています。また、小・中学校や高校でいのちの大切さを伝えていく「いのちの授業」や、親子の健康教育、子連れのお茶会など子育て世代を対象にした講座も行っています。他に助産師教育(開業支援・研修)や看護師助産師の実習受け入れなど後進の育成にも積極的に関わっています。2016-11-14 15.20yuzuriha

ゆずりは助産院で特に大切にしておられること

一般的に助産院は(近くに医療がないこともあり)予防に注力しています。ゆずりは助産院では、以下の3つを特に大切にしておられるとのこと。

  1. 妊婦健康診査

  2. 助産師教育

  3. いのちの授業

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妊婦健康診査では、その妊婦さんに合わせた食生活やライフスタイルを妊娠を機に健康な状態にできるように支援していく、というもので、妊婦さんに以下の「ゆずりは からだづくり3原則」をお話ししています。

ゆずりは からだづくり3原則

  1. 民族食 和食を食べること:持久力、忍耐力、温かいからだ、五感力、柔軟性
  2. からだを温めること:温かい愛ある心、流れの良いからだ、五感力
  3. よく運動(歩く)こと:体力づくり、持久力、五感力

これらの考え方をしっかり伝え、まさに「からだづくり」から妊娠をのりこえる、ということを理解いただきながら、支援を進めています。

・血の濃さで体調がわかる

まず最初に、1つ具体的な数字の話。医学的な根拠があるわけではない、という前提の上で・・支援をしながらも血液のヘマトクリットが34を超えてしまっている方は、身体づくりがうまくできていない場合があり、転院異常発生率が大きく高まる傾向にあります。34より低い人はそれを維持するように、また超えている人はより注意してみるようにしています。

・民族食への思い

特に食には思いを持っていて、「からだに合ったものを食べる」ことが大事と思っています。日本人なら和食。同じ人間でも、住む国によって腸の長さが違うようで、日本人は5~8メートル、アメリカ人は3~5メートルです。消化の力も変わってくるので、住んでいる場所のものを食べることが重要です。でも日本では戦後に欧米食が増えていることで状況がかわってきているとも考えています。がんや脳卒中は、昔なかった。身体で消化できないもの・消化しにくいものを食べることで蓄積され病気になるのではないか。

とにかく妊娠期から「食べ物を送っていく」「食べたものから身体が作られていく」こうした考えで食事をすることが大事です。胎児期から身体つくりを行うことで、産まれたお子さんの入院の確率受診の確率は格段に低くなり、風邪を引いても1日で治ったり黄疸にもなりにくいと考えています。

・身体づくりは心の健康にもつながる

妊娠期からの身体づくりはお母さんの心の健康にもつながります。妊娠期に存在を意識することができれば生まれてからもっと愛情をはぐくむことができるはずです。またお腹の中の赤ちゃんの存在は、言葉でお母さんに伝えるのではなくて体験をもとにお産していただくことが大事と思い、日々接しています。

・助産師教育の重要性

全国での助産院でのお産は0.7%。それ以外は病院での出産となり、助産師もほとんどが勤務している方々です。そこで勤務助産師に来てもらい、予防や症状が出た時の技術を伝える講座を開催しています。勤務助産師は異常があったときに医師に頼り、薬をもらおうとするが、一歩待って助産師としてできることはないのか、そういったことを伝えていきたいと考えています。逆子も温めるだけで治ることもあるが、病院で教えてもらえないという妊婦さんの話もありました。

・人の心を変えることは難しい

人の心を変えることは難しいです。でも、身体からのアプローチをすると脳の血流がよくなります。身体が元気になると心も元気になるので、心の健康につながると考えています。

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運営での課題

  1. 嘱託医と連携医療機関の確保の問題
  2. 経営的な問題
  3. 助産院という選択肢
  4. 潜在助産師の活用について

各点について、助産院側と市長とで意見交換をしました。2016-11-14 16.24yuzuriha

同じ屋根の下でご主人が営業されている「心根」の和菓子でほっと一息。
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岩本の意見

●率直な感想として

片山氏にはいつも話を伺っていますが、改まっての場というところで初めての話が聞け、子育て支援における助産師活躍の可能性を感じさせるものでした。身体づくりにはじまる産前の妊婦さんへの指導については、キャリアでいうところの自己有用感や自己肯定感を高める取り組みにも通じ、岩本にも『もっと具体の話を聞いてみたい・・・!』と思わせるものでした。行政側にも子育て支援の現状把握ということで訪問いただきましたが、「いい話が聞けた」ということで得るものもあったようです。まあ、「いい話」で終わるのではなくて、具体的に改善・改革していってもらいたいと考えています。

●助産院の開業支援(嘱託医)を行うべき

開業にあたっての一番の壁として、嘱託医の話がありました。真っ先に浮かぶのは枚方市の市民病院ですが、これはなかなかハードルが高いところとも思いますので、まずは助産師と医療の双方が話できる、場を提供することが行政としてできることかなと。

●市内の潜在助産師を把握し、活用すべき

一般質問でも取り上げましたが、市内には資格を持っているけれども使うこともなく眠ったままになっている、いわゆる潜在助産師が多数おられます。こうした方を市としても把握し、お力を借りていくべきかなというところです。

岩本が思わずメモした名言

★お母さんのよりどころ、第3の実家として役割を発揮したい。
★助産院で産むことに固執しすぎるとお母さんが苦しい。

以上です。ダイジェストと言いながら結局長文になってる。お読みいただきありがとうございました!

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