能率的で活力のある公務組織について

  • 次に、「4.能率的で活力ある公務組織について」、お伺いします。
    今年の8月にあった人事院勧告では、給与部分以外の対応として、人事管理に関する報告も示されており、そこでは、主に採用試験の見直しによる優秀な人材の確保や、職員が身体的にも精神的にも満たされた状態である、いわゆるウェルビーイングの実現に向けた職場環境の整備等についても言及されており、それらは本市の公務組織を健全に保つためには、非常に重要な視点です。
    まず、人材の確保に関しては、生産年齢人口が減少していく一方で、他自治体や民間企業も含めた人材獲得競争がし烈になっていく中、いかに未来の枚方市を担ってもらえる優秀な人材を確保できるか、が肝要です。
    本市でも令和2年度から、職員採用試験の方法について、実施時期の前倒しや年齢制限の撤廃などの見直しを進めてきたことにより、民間企業等を経験された方など、多様なノウハウや強みを持った人材についても、一定の確保に努められてきたものと理解していますが、引き続き、優秀な人材をより確保することができるよう、例えば、申込者数の裾野を広げるような取り組みを、さらに進めることが必要と考えます。
    そこでまず、優秀な人材確保に向けた本市の職員採用試験の取り組みに関する市の考え方、過去3年間の申込者数の推移について、お伺いします。
  • <総務部長(人事課)>次に、「4.能率的で活力ある公務組織について」、お答えいたします。
    優秀な人材確保に向けた取り組みとしまして、これまでの間、議員お示しのとおり、採用試験の方法を適宜見直してきており、今年度につきましても、受験者の負担軽減を図る観点及び、より人物重視を図る観点から、一次試験をエントリーシートだけではなく、録画面接により受験者の熱意や人となりが把握できる仕組みに変更するなど、見直しを行ったところであります。
    なお、採用試験における過去3年間の申込者数の推移につきましては、年齢制限の撤廃などの見直し前の令和元年度は537人、見直し後の令和2年度は1,511人、令和3年度は1,691人となっており、大幅に増加しているところですが、今後におきましても、引き続き、より優秀な人材確保に資する試験手法や実施時期等の検討を、継続的に進めてまいります。
  • 本市職員における人材確保に向けたこれまでの取り組みについては、一定理解しました。
    今後も引き続き、優秀かつ多様な人材が本市に入職してもらえるような取り組みの推進を要望します。
    次に、優秀な人材を確保した上で、職員の能力を引き出し、組織のパフォーマンスを最大限発揮するためには、職員が心身ともに活き活きと働き続けることができる職場環境の整備が不可欠ではないでしょうか。
    そこで、先の決算特別委員会では、職員が市の貸与された硬い椅子で長時間執務する職場の執務環境についての考えをお聞きしました。
    その答弁においては、職員個々の負担軽減のためのセルフケアの手法などといったソフト面での取り組みをお聞きしましたが、私からは、腰などの負担軽減できる人間工学に基づいた椅子、机を採用していただくよう要望を行いました。
    先ほどからの優秀な人材が本市で働き続けてもらう、職員のウェルビーイングの実現のためにも椅子などのハード面の職場環境への取り組みは大切だと思いますが、改めて、課題認識をお伺いします。
  • <総務部長(総務管理課)>執務環境は、職員が心身ともに健康で、いきいきと働くとともに、職員が持てる能力を発揮し、市民サービスの向上を図るために重要な要素だと考えております。
    データ入力や文章作成等の多くの事務は情報機器を使用しており、これらの作業における労働衛生管理につきまして、厚生労働省より、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、作業者の心身の負担を軽減し、支障なく作業を行うことができるような作業環境管理や労働衛生教育などが示されており、現在採用しております椅子等は、このガイドラインが示す機能を一部満たさない部分もありますので、改善が必要と考えております。
    今後、このガイドラインを踏まえながら、ハード面、セルフケアなどのソフト面双方での環境整備の検討を進めてまいります。
  • 職員の健康管理を適切に行うためには、セルフケアも必要ですが、雇用者として必要なハード整備についても、予算上の限界はあると思いますが、可能な範囲で進めていただきますよう、要望しておきます。
    次に、昨今、顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマー・ハラスメントが社会問題化しており、このことは、本市を含め、地方公共団体の窓口などで心無い市民から怒鳴られたり、度を越した要求を突きつけられたりするようなこともあるように聞いています。
    このような対応は職員にとって大きな負担となるもので、職員が生き生きと働き続けられる環境を整えるという観点からも組織としてしっかりとした対応が必要と考えます。
    そこで、本市のカスタマー・ハラスメント、いわゆる、社会的妥当性を逸脱するような苦情に対する取り組みについてお伺いします。
  • <総務部長(コンプライアンス推進課)>本市では、行政運営における苦情等は市政運営や業務改善のための貴重な情報であると捉え、丁寧な説明や接遇など、誠実な対応を行うことを職員に徹底しているところです。
    しかしながら、窓口等におきまして、十分な説明を繰り返してもなお、長時間に渡って同じ趣旨の要求を繰り返すなど、社会的妥当性を逸脱した苦情等が散見される状況にございます。
    このような社会的妥当性を逸脱した苦情等については、円滑な事務の遂行に支障をきたし、市民サービスの低下を招く恐れがあることから、平成29年に「社会的妥当性を逸脱した苦情等への対応マニュアル」を策定し、職員個人が孤立しないよう、組織的な対応を行うことを明確にし、各部署への周知・共有を図っております。
  • 能率的で活力ある公務組織を実現するためには、机・椅子等の執務環境といったハード整備とともに、カスタマー・ハラスメント等に直面した際においても、組織として職員を守るといった取り組みを確実に実施していく必要があると考えます。
    組織を円滑に運営し、良質な市民サービスを提供し続けるためには、職員自身が心身ともに健全でなければなりません。
    例えば、世界的な企業として知名度の高いGoogleにおいては、個々の高いパフォーマンスを発揮させるために最も大切なことは、心理的安全性だと結論付けています。
    心理的安全性とは、自分の考え方や意見を包み隠さず発言できる環境が守られており、自分が受け入れられ理解されていることが前提にあるということを指します。
    まさしくこの考えは、今回、人事院からあった人事管理に関する報告に示されている、職員が身体的にも精神的にも満たされた状態である、いわゆるウェルビーイングの実現に向けた職場環境の整備につながるものだと思います。
    これらの取り組みを通じ、より風通しのよい職場風土が庁内全体に醸成されるものと思いますし、それがひいては能率的で活力ある公務組織にもつながっていくものと考えます。
    引き続き、そういった視点も意識して進めていただきますよう、要望します。