• 最後に、人手不足の支援です。
    これまで、我が会派より府内企業の人手不足対策への支援を継続的に要望してきました。さきの九月議会でも、労働市場調査などを専門に扱う民間企業のデータを紹介しながら、労働需要の将来推計を見据えた人材確保支援について質問したところです。今議会でも、代表質問として、大阪が成長するために必要な労働力を確保するために、将来の労働市場の状況をしっかり把握し、労働力供給の増加に向けた戦略的な取組を取り上げたところです。
    今後ますます生産年齢人口が減少し、人手不足を原因に倒産する企業も増加する中、府が様々なカウンターパートと連携し、労働市場の将来推計を注視しながら戦略的に取り組むべきビジョンを定め、人手不足に対応していくことが必要と考えます。
    府では、国や業界団体等と連携し、人材確保支援の方向性について協議する大阪人材確保推進会議を設置し、業界のイメージアップや雇用促進などを目的に、構成団体間の連携や協力を図っています。九月の常任委員会では取組方針などを確認しましたが、今年度の具体的な取組内容について、総務課長にお伺いします。
  • 〇大阪人材確保推進会議は、業界団体や行政機関等が相互に連携、協力を図り、大阪の労働市場の変化を捉えながら、人材確保を必要とする業界等の雇用促進やイメージアップを行うことを目的に設置し、誰もが働きやすい職場環境づくり、就業意欲の向上とマッチングの強化、労働者の能力向上とキャリア形成支援の三つの視点で各構成団体において取り組むことを確認いたしました。

    〇府としては、企業の人材確保を支援するOSAKAしごとフィールド内の中小企業人材支援センターにおいて企業向けセミナーを実施しており、本推進会議の取組方針の下、ストレスフリーな職場環境づくりや働き方改革の進め方、人材育成効果を高める人事評価制度のポイントなど、キャリア形成に関連するセミナーも実施しております。

    〇また、二月には、府が大阪商工会議所や金融機関等と連携して開催した合同企業説明会において、業界団体に出展ブースを提供するとともに、業界団体による魅力発信セミナーを実施したほか、仕事内容ややりがいを理解してもらうためのしごと体験コーナーを設けるなどの取組を実施いたしました。

    〇今後も、刻々と変化する労働市場の状況を注視しながら、人手不足に悩む府内企業のニーズを捉えた施策を検討し、構成団体等と連携して人材確保に取り組んでまいります。
  • 推進会議の取組については一定理解しました。今後は、現状の有効求人倍率のほか、労働需要の将来推計など民間企業の調査データも活用しながら、人手不足の影響が甚大な業界ごとに支援を強化するなど、戦略的に取組をお願いしておきます。
  • さて、人手不足対策については、女性や高齢者を中心に就業促進していく取組のみでは状況を打開することは困難です。企業や人材が生産性の向上に取り組み、省力化や省人化を行っていくことが欠かせません。特に、昨今、ビジネス利用が進むAIやクラウド技術を活用した業務効率化の動きはさらに加速していくことが見込まれています。
    こうした状況の中、府でも府内企業のDXを推進するために、相談窓口を設置し、専門家派遣の事業を実施していますが、AIなどの技術を活用した生産性向上に係る相談などにも対応できる体制が整備されているのでしょうか。
    府が大阪産業局を通じて実施する大阪DX推進プロジェクトの取組内容と実績についてお伺いします。
  • 〇府では、DXの導入を検討する企業が一歩を踏み出せるよう、大阪市と共同で、大阪産業局と連携し、大阪DX推進プロジェクトを実施しております。本プロジェクトでは、企業経営者のDXに向けた意識改革を目的としたセミナーの開催や、DX導入を検討する企業へ専門家派遣を行っております。

    〇今年度は、一月末時点で八百一件の相談があり、そのうち三十七社に専門家を派遣し、企業の課題解決の支援を行ったほか、DX人材育成に関するセミナーを十三回開催し、二百六十名を超える参加がありました。

    〇専門家を派遣した企業の中には、AI技術を活用した帳票の自動データ化の支援やクラウド型ローコードツールを活用した販売管理システムの構築など、AIやクラウド技術を活用した業務効率化に関する相談も増加しているところでございます。

    〇このため、専門家派遣に加え、AI技術等の活用を支援した実績のある協力企業へつなぐなど、企業の業務効率化に向けた支援体制を強化しているところでございます。

    〇引き続き、大阪産業局と連携し、中小企業の生産性向上を支援することにより、企業の省力化、ひいては人手不足対策へつなげてまいります。
  • 府として様々な人手不足への支援に取り組んでいただいていますが、企業の人材確保支援には、労働力人口など労働供給の将来推計だけでなく、企業による労働需要の推計も活用し、将来の需給ギャップをしっかり捉えて取り組んでいくことが必要です。そのためには、府としても、需給ギャップの推計を行い、それを基にビジョンを持って企業や業界の取組を支援する方向を定め、戦略的に取り組む必要があると考えていますが、商工労働部長の見解をお伺いします。
  • 〇現在の人手不足の状況のみならず、将来の労働需給や府内企業を取り巻く環境変化なども見据えて人材確保対策を行うことは重要と認識しております。

    〇そこで、府といたしましては、府内の有効求人倍率と民間企業による労働力の将来推計を参考にしながら、例えば、製造業やバッテリー関連の集積といった地域産業の特性やインバウンドの状況、IR誘致などの政策、そして企業、団体からの現場の声も加味しながら人材確保政策を検討し、実施しているところであります。

    〇府独自の推計につきましては、府では全国推計と比しても人手不足の顕著な業種に大きな変化がなく、トレンドとしては大きく変わらないと考えておりまして、加えて、企業による省力化の投資であったり生産性向上、AIといった技術革新の進展など、そのような影響も考慮する必要もあり、また、毎年改定していく必要もございますことから、このような理由から独自の推計は難しいと考えております。

    〇政策面でいきますと、労働力人口が今後も減少していく中で、将来的にはほぼ全ての業種で人手不足が生じると見込まれますことから、DXや生産技術の開発などによる業務の見直しといった生産性向上と、技術の活用などによる労働負荷の軽減や働く環境の整備、業務の切り分けなどによる多様な人材の活躍、この二つを軸に、府が企業の取組を将来にわたり継続的に支援していくことが重要であると、そういうふうに考えています。

    〇全業種にわたりまして、これらの取組を進めながら、将来的に人手不足が顕著な業種につきましては、施策の重点化を図り、急激な経済環境の変化にも迅速かつ臨機応変に対応しながら、労働需給の将来推計データのほか、産業特性や政策なども加味して、データ面もはじめまして、民間企業とか業界団体の力もお借りしたり連携しながら、人材確保という継続的な課題に対して、戦略的に将来を見据えて商工、労働施策の両面から支援してまいりたいと考えています。
  • 商工労働部長から人手不足に対する取組の考え方をお伺いしました。
    企業と話をしていても、今足りない、すぐ人材が欲しい、こうした声というのはたくさん耳にしますし、そうした部分への短期的な取組、要は、今すぐ求められていることに対応していかなければなりません。
    一方で、これからの人口減少を見据えたときに、中長期的にはどういったトレンドになっていくのかということ、そうした背景を踏まえながら、教育庁など他の部とも横断的に連携して、人材育成であったり招聘というものの取組も同時に行っていかなければならないというふうに思っています。そのためには、私、先ほどの質問では府独自と言いましたけども、これは柔軟な形で民間シンクタンクであったり学術機関、そういった専門機関の力を借りるというのも一つだと思っています。
    これからも大阪人材確保推進会議というのは進化していくものと思っています。人手不足の解消のみならず、大阪のさらなる成長につながっていく、そういった議論がなされるような会議体にしていただきたいと求めまして、以上で質問を終わらせていただきます。