• 次に、デザインやコンテンツの力を活用した中小企業支援についてお伺いします。
    ちまたに様々な商品、製品があふれる中、有名アニメのキャラクターとのコラボなど、知名度の高いコンテンツを活用した商品に注目が集まったり、同じ機能でも洗練されたデザインの商品なら高価格帯でも売行きがよいといったように、商品、製品の付加価値を高めて消費者の心をつかんでいく手段の一つとしてデザインやコンテンツの活用が重要な要素となっています。
    コンテンツやデザインを活用した商品づくりにおいては、クリエーターの果たす役割が大きく、民間ベースでは企業とフリーランスをマッチングするクラウドソーシングサービスが活発となり、クリエーターが活躍できる環境が整ってきている状況であります。
    しかし、中小企業の多くは、デザインやコンテンツの持つ重要性や効果を認識していても、具体的に自社製品に活用するノウハウに乏しいため、デザインやコンテンツを活用したビジネスはハードルが高いのが実情と思っています。
    そこで、デザインやコンテンツの持つ力を中小企業の成長に取り込んでいくため、府はどのような取組をしていくのか、経営支援課長にお伺いします。
  • 〇中小企業がデザイナーやクリエーターを活用して自社の製品、サービスの付加価値を高めたり、経営課題を解決していけるよう、大阪府、大阪市で設置する大阪産業局では、そのきっかけづくりとして、企業が自社の抱える課題や協働したい案件をクリエーターに伝えるクリエーター募集プレゼンテーション事業等により、クリエーターとのマッチングやネットワーク形成を支援しております。

    〇また、製品デザインやパッケージ等に関するアドバイスを専門相談員が実施するほか、企業経営にデザイン思考を活用するための知見を学ぶセミナーやワークショップを開催しており、さらに、来年度は、キャラクターなどのコンテンツを活用した商品開発のノウハウを伝えるセミナーの開催を検討しています。

    〇これらの支援を通じ、中小企業の競争力向上に取り組んでまいります。
  • クリエーターとのマッチングやネットワーク形成の支援、また、セミナーやワークショップなど、よい取組をしていると思いますが、大阪産業局の拠点は大阪市にあり、また、セミナーなどのイベントも大阪市内で開催されるものがほとんどです。仮に大阪市外の方が相談したい、参加したいと思っても、大阪市内まで行くことがハードルとなるではないでしょうか。
    そこで、府内全域の中小企業、特に大阪市外の企業に対し、大阪産業局の事業をより活用いただくための取組について、経営支援課長にお伺いします。
  • 〇大阪産業局は、府市の中核的支援機関として、拠点がある大阪市内のみならず、府内各地の中小企業へ支援が効果的に届けられるよう、府内の商工会、商工会議所や金融機関等と連携し、大阪産業局が実施する支援メニューの提供に努めております。

    〇各商工会、商工会議所においては、地域の実情や事業者ニーズに応じて産業局の支援メニューを活用しており、令和六年度は、企業とデザイナーやクリエーターとの交流事業を三つの商工会議所が実施したほか、デザインの活用を促進するセミナーを十団体が実施、延べ千人以上に支援を行いました。

    〇ほかにも、大阪産業局が受けるデザイン相談については、相談内容に応じて店舗や事務所へ専門家が訪問したり、オンラインにより実施するなど、事業者に合わせた対応も行っております。府はこれらの事業実施に関し、補助金を交付して支援しているところでございます。

    〇引き続き、府内全域の企業へ支援が行き届くよう、支援メニューの周知に努め、活用を促してまいります。
  • 関係団体とかの力も借りながら、大阪市外の事業者にもそういった支援が届くように取組をお願いしたいと思います。
  • 次に、中小企業支援におけるデザインの重要性、今後の可能性についての認識をお伺いしたいと思います。
    今は多様性の時代です。生産者サイドが押しつける大量、画一的なものでなく、個々の価値観に合ったものが好まれます。価格面以外での価値を高め、果てしない値引き競争から脱却していく上で、デザインの活用は新たな価値を生む大きな可能性を秘めており、中小企業にもっと普及させていくことが必要だと考えますが、その重要性についてどのように認識をされているのか、商工労働部長にお伺いします。
  • 〇デザインとクリエーティブの力は、単なる装飾的要素ではなく、商品などのプロダクトにとどまらず、事業や企業の価値も高めてくれるものと考えております。その可能性と重要性をまずは中小企業の経営者に感じていただけるよう啓発することが大切と考えておりまして、例えば、大阪製ブランドや大阪代表商品事業での磨き上げ、求人に悩む企業へのアドバイス、そういったものも、事業者に加えて、周りの事業者に対してその重要性を感じていただく、そういう取組であると考えています。

    〇一方、大阪では約二十万人のクリエーターが活動していると言われておりまして、昨今の副業、兼業の流れや、自由にインターネットで発表できる、そのような環境の中で、都市圏である大阪でこそ、さらに様々な分野のクリエーターが生まれて活躍できるまちであるとも考えています。このクリエーターの集積を、製造業やサービス業など、その集積と掛け合わせて、その交流、連携を促進するためのきっかけをつくって、双方の成長へとつなげていきたいなと、そのように考えています。

    〇あらゆる業種の経営者に気づきの機会を増やして、クリエーターと交流するきっかけをつくって、クリエーターが活用できる場が広がっていき、そして、それが中小企業の新商品の開発や新事業創出が進展するという、そういった好循環を生み出せるよう、大阪産業局や商工会、商工会議所等と連携して進めてまいりたいと思っています。
  • これからの企業経営には、デザインやクリエーティブの観点を入れることがもはや当たり前と思います。よって、まずその認識を中小企業に持ってもらうことが重要です。大企業は自社組織にクリエーティブ部門を抱えることもできますけども、中小企業もクリエーティブの力を取り込めるよう、府がどのような形で企業にアプローチできるか、大阪産業局の支援機能を効果的に活用して取り組んでいってほしいと思っています。
    また、企業価値を高める可能性を持つデザイナー、クリエーターを志す人が、副業や兼業など様々な形で活躍できるまちにしていくことが、大阪の都市の豊かさにつながるものと考えています。商工分野と労働分野を一体として取組を進めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。