道徳教育について

平成26年第3回定例会(第4日) 開催日:2014.09.22

  • 道徳がない、つまり、社会においてよい基準を持てなかった集団は、決して長く続かないという言葉があります。これからも、集団が集団として生き残るためには、みんなが納得できる規範が必要です。近年では、学校内でのいじめが問題となり、また、家庭の核家族化や地域コミュニティー崩壊の問題が言われていますが、こうした中にあって、道徳は集団としての規範を学ぶ第一歩です。文部科学省では教科化も検討されており、学校の中で道徳の果たす役割は大きくなっていくと考えます。
     
    6月議会において、本年度、文部科学省が配布した教材『私たちの道徳』について、授業、家庭での活用推進を要望し、また、学校での活用状況についても確認いただきたいとお願いしました。答弁においてもすべての教育活動の中で活用する旨の発言があったかと思いますが、その後の各学校における『私たちの道徳』の活用状況について、お聞かせください。
  • 『私たちの道徳』につきましては、すべての学校で、年間計画に基づき、授業での活用に取り組むこととしております。また、各学校で、家庭に持ち帰ることにより、道徳的価値について考え、話し合い、共有する機会が得られるよう、計画的に取り組んでいるところです。
     

    石田義明教育委員会事務局学校教育部長

  • 道徳教育についてなんですが、『私たちの道徳』について、私も市販されているものを、今回、購入させていただきました。
     
    いろいろ読んでおったんですけれども、漫画で人気の『宇宙兄弟』の一場面であったり、サッカーで有名な澤 穂希さんのエピソードなど、子どもたちにとって身近な内容から学べるようになっていますから、ぜひ活用いただきたいと思っております。
     
    以前、『私たちの道徳』について、学校で使っていない、家に持ち帰っていない、配付されていない、そういった保護者からの声もありましたが、年度末においてそうした声が保護者から出ることがないように、文部科学省の通知も踏まえ、しっかり現場に確認いただきたいと要望いたします。
     
    さて、昨年度の全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙調査の結果によりますと、例えば、児童、生徒の規範意識で「学校のきまりを守っていますか」とか、「いじめは、どんな理由があってもいけないことだと思いますか」とか、自尊感情で「ものごとを最後までやり遂げて、うれしかったことがありますか」とか、「自分には、よいところがあると思いますか」とか、こういったことにかかわる項目というのが、全国平均に比べ、枚方市は低い傾向にあるわけです。これらの結果と道徳教育の充実には関連があると考えますが、教育委員会の見解をお聞かせください。
  • 議員が御指摘の児童、生徒の規範意識や自尊感情に係る項目につきましては、少しずつですが、肯定的な回答が増加してきております。しかし、全国平均と比較すると、やや低い傾向にあります。
     
    そのため、各教科や学校行事などの教育活動全体を通じて規範意識や自尊感情を育んでいくとともに、道徳の時間を中心として、児童、生徒に約束や決まりを守ること、自分の特徴に気付き、自分のよさを伸ばしていくことの大切さに自ら気付かせるなど、道徳教育の充実を図ることが重要であると考えております。
     

    石田義明教育委員会事務局学校教育部長

  • 児童、生徒の規範意識や自尊感情を向上させるためにも、道徳教育において、規範意識、思いやり、親切、生命尊重や努力、忍耐といった内容項目についてしっかり学ぶことが重要です。道徳の時間では、『私たちの道徳』やさまざまな読み物資料を活用し、道徳教育のより一層の充実を図っていただきたいと思います。
     
    全国学力・学習状況調査は、もちろん結果を目的とするものではないと思いますが、こうした数値を参考にしながら、取り組みに生かしていただきたいと思います。
     
    また、道徳教育において、歴史上の偉人や世界で著明な日本人について学ぶことは、単に箇条書きの項目で学ぶよりも児童、生徒にとってイメージしやすく、学習意欲を高めることにつながるのではないかと思います。このことについて、教育委員会としての見解をお聞かせください。
  • 道徳教育において、偉人や世界で著明な日本人について学ぶ取り組みは、児童、生徒の学習意欲を高めるとともに、豊かな心を育むことにつながると認識しております。『私たちの道徳』におきましても、二宮金次郎や野口英世、マラソンの高橋尚子選手といった人物についての読み物資料が多く掲載され、また、コラムで、著明な人物の言葉も紹介されています。今後も、『私たちの道徳』やさまざまな読み物資料を活用し、道徳教育の一層の充実を図ってまいります。
     

    石田義明教育委員会事務局学校教育部長

  • 先日、私自身、ある勉強会で偉人伝を体験しました。タイトルは藤樹の志を導いた厳しい母の愛というもので、中江藤樹について学ぶものでしたが、単に親子の愛ときずなが大事ですよと言われるよりも、その追体験の中で自分を振り返る、自分の母のことを考える機会となり、偉人伝の重要性、効果を、身をもって実感した次第です。
     
    偉人や、世界において著明な日本人の生き方について学習することは、子どもたちの将来設計にとっても有効です。目標を選択する、そのことが、将来なりたい職業を選ぶだけでなく、目標を達成するためのプロセスを学ぶことにつながります。
     
    そして、世界から称賛される日本人を学ぶ中で、こんなふうに生きたいというロールモデルになり、学ぶ意欲が高まり、また私も頑張ろうと努力する姿勢にもつながると考えます。さらに、それらが児童、生徒の自尊感情にも大きくかかわると思います。
     
    児童、生徒が積極的に学びたいと思う、そんな道徳の時間となるよう、今後もその充実を図っていただくことが重要であると思いますが、最後に、道徳教育についての教育長のお考えをお聞かせください。
  • 私は、枚方の子どもたちに、正義感や公正さを重んじる心、命を大切にし、人権を尊重する心、他人を思いやる心や社会貢献の精神、他者との共生や異なる者への寛容などの感性といったものを育んでいきたいと考えています。そのために、道徳の時間を中心とした、道徳教育のさらなる充実を図ってまいります。
     

    村橋 彰教育長

  • 道徳とは、集団での規範を学び、そして、自分と向き合う中で、いかに生きるべきか、どうあるべきか、このことを考え、学ぶ、とても大事な時間です。
     
    道徳の時間は、現在、年間35時間、一個一個の項目を学ぶ、学ばないで、長い目で見ると必ず大きな差が出てきますが、一個たりとも、1時間たりとも余裕はないと思いますし、また、今回取り上げた人物学、偉人について学ぶことにしっかりと取り組んでいただきたいと要望しておきます。