位置情報共有による防災対策について

平成26年第3回定例会(第4日) 開催日:2014.09.22

  • のたび、広島市内で記録的豪雨が発生し、大規模土砂災害が起こったわけでございますが、その大規模土砂災害によりお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
     
    さて、土砂災害により、多くの犠牲者があった広島市の安佐南区周辺では、背後の斜面からの土石流が数回発生し、徐々に住宅地に近付き、甚大な被害が発生しました。このように大災害が起こった場合は、住宅街が広範囲に崩壊することがあり、もとの町並みと全く違う状態になることも想定されます。そのような状態で災害現場に向かう場合は、目的の建物や近隣の公園など、目印となるものがないため、住宅地図などでは、現地へ行き着くことは困難となります。山間部や河川敷などでは、住所や目標物では対応できないため、場所の確認、特定に手間取り、伝達効率が非常に悪いのではないでしょうか。
     
    また、災害時には、市内の土地カンがない、他の自治体からの支援者などに対する現場指示や説明については、さらに困難になります。住所や目標物で場所を説明しようとしても通じません。しかし、現状では、災害対策本部は、この方法でしか場所を説明するすべを持っていません。このために、支援者はどこに行けばいいかもわからず、結局、道案内人を付けないと行動できない。これが救助、復興に障害となり、また、多くの職員を道案内に割かないといけないことが大きな負担になると言われています。
     
    情報共有できない主原因は、地元にいる者しか通じない位置情報に頼っているからです。市職員でさえ、住所を聞いて、どこかを正確に言える職員は少ないのではないでしょうか。このように住宅地図による説明などが難しい場合において、本市では、どのような手段を用いて説明、指示などを行われるのか、お伺いいたします。
  • 本市における現時点での災害対応は、住宅地図を基本としておりますが、本市の地形等から考えて、住宅街や目的の建物など、一切の現地情報が不明となるようなことはないのではないかと考えております。
     
    仮に現地情報がわかりにくい状況となった場合は、現地に残存している住宅や道路などをもとに、住宅地図などを利用した説明、指示等を行うこと、また、現地へ向かうことについては、市内の状況を把握している職員などが同行することで対応してまいります。

    佐藤伸彦市民安全部長

  • 先ほどの御答弁では、ここがどこかわからなくなるほどの事態は想定していないとのことですが、災害時においては、高度な位置情報により地点を定める手段を保有しておくことは重要ではないでしょうか。また、職員が同行するといっても大きな負担になりますし、その災害の規模にもよりますが、限界があると思います。
     
    そこで、位置情報の共有を実現する手段として、Nコードという位置情報を取り上げたいと思います。紙ベースの地図や電子地図などに、緯度、経度と互換性のある縦横のメッシュ状のラインを記載することにより、8桁のコードを作成し、位置情報を表わせるものです。Nコード自体は無料で公開されています。
     
    実際の採用例では、兵庫県の防災マップや神戸市、西宮市、宝塚市の消防指令システムにNコードが組み込まれ、これが大阪府にも波及し、河内長野市、八尾市の消防指令システムにも採用され、そして、枚方寝屋川消防組合の最新の消防情報システムでは、Nコードが機能の一つとして整備されると聞いております。ほかにも、消防科学総合センターの消防防災GIS、また高槻市や堺市などの地図ソフトにも使われているとのことです。
     
    そこで、お伺いいたしますが、枚方市では、今年度、防災マップを作成されていますし、災害情報システム導入の検討もされていると聞いています。今後、それらにNコードを導入する考えがないか、お伺いいたします。
  • 住宅地図が利用できないような状況が発生した場合に、共通の位置情報を持つことは重要であると認識しております。Nコードの導入につきましては、今後、その有用性や汎用性、費用対効果等を研究してまいります。

    佐藤伸彦市民安全部長

  • 東日本大震災のときに問題になったことですが、発災直後に通信手段が途絶えたとき、災害対策本部ではローテクの紙地図が主役となったそうです。とはいえ、地図の種類も縮尺もばらばらで、情報共有のツールとしては十分に使えなかったとのことでした。
     
    さて、大阪府の危機管理室もNコード対応の防災マップを作成し、これを使った防災訓練を行っているとのことです。広域災害時には、当然、本市としても大阪府との情報共有は不可欠であるため、この地図が必要になると考えられます。本消防組合の消防指令システムもNコード対応になるわけですから、これとの情報共有を考えると、本市の防災マップやハザードマップもこれに準じておく必要があると考えられます。共通の位置情報の重要性は認識されておられるとのことですから、今後に備え、対策をしていただくことを要望します。