『子供を守る条例』付託審議で賛成討論を行いました

令和2年度、岩本は教育子育て常任委員会に所属して活動してきました。
委員会では所管事務調査として、『子どもの成長を支える施策』について取り組んできました。
「子どもを守る条例」を検討している行政に対し、常任委員会側として、取り組んできたものです。

この『子供を守る条例』、3月議会で上程され、本会議で審議される予定でしたが、他会派から付託の提案がされ、3月11日に付託審議となりました。
岩本は賛成討論を行いました。
結果は、全員が賛成となり可決となりました。

議案第129号 子どもを守る条例の制定について 賛成討論

本委員会に付託された、議案第129号「子どもを守る条例の制定について」の採決に当たり、賛成の立場から討論を行います。

本議案は、近年、子どもの課題が深刻化する中、子ども・子育て支援に関し、基本理念を定め、市などの責務や役割を明らかにするとともに、子どもを守る体制づくり、子ども・子育て支援に関する基本事項を定めることにより、一人ひとりの子どもが笑顔で健やかに成長できるまちの実現に資するため条例を制定するものです。

本委員会では、「子どもの成長を支える施策について」をテーマとした所管事務調査の中で、条例の制定を検討する理事者からの説明を受け、各委員間で意見交換を行い、まとまった意見を提案しました。
そして、それを受けた理事者におかれては、諮問した社会福祉審議会子ども・子育て専門分科会において条例制定について審議を重ねてきました。

そうした過程を経て、今回上程された「子どもを守る条例」については、本委員会としても、条例の前文や条文に掲げる理念や目的の実現が期待できるものと考えます。
そこで、賛成するにあたり、この間、繰り広げられてきた議論や意見を集約することも含め、次のとおり述べさせていただきます。

まず、子どもの貧困、いじめ、虐待、ひきこもり、不登校など、子どもが抱える課題は、益々複雑化、深刻化しています。
全国的には、子どもの命や心身の発達に重大な影響を及ぼす事案が多数報告されており、本市としても、特別な家族の問題として取り組むのではなく、どの家庭にも起こりうるものと認識し、すべての家庭のすべての子どもを念頭に、取組を進める必要があります。

そのため、一人ひとりの子どもに最善の利益を届けるために、条例においては、克服すべき課題をしっかりと捉え、「縦割りを乗り越えた総合的な支援」、「子どもの成長に合わせた切れ目のない一貫した継続的支援」、「市民みんなで子どもを守る重層的な支援」の3点を基本方針としたことについては評価をするものです。

これについては、委員会の所管事務調査の中で、子どもが抱える課題への対応が進んでこなかった点も挙がっており、市・保護者・地域住民・学校園等・事業者など、社会を構成するあらゆる主体が、それぞれの役割と責任を果たしながら、社会全体で取り組んでいくことが重要です。
そして、そのコンダクター・コーディネーターとなるのは市であり、覚悟をもって、枚方の子どものために取り組んでもらいたいと考えます。

また、基本方針を実現するための手法として、子どもに関する情報を集約し、より早期に的確な支援を届け、さらには予防的支援のために活用することで、一人ひとりの子どもを見守り・支えていく体制をさらに整備されることを期待します。
子どもに関する情報の取扱いについては、秘匿性のある情報も含まれており、厳密に取り扱っていただくことと、予防的支援については、子どもへのレッテルとならないよう慎重に取り扱っていただくことを、あわせてお願いしておきます。

加えて、社会の傾向としては、少子化、人間関係の希薄化が進行しており、さらにコロナ禍の影響により、子ども同士のみならず、保護者同士のふれあいの機会も減少しています。
そうした中にあっても、子どもが多様な経験を積み重ねながら、自分も他者も大切にし、主体的に生きる力を身に着けていける環境を整えること、また、保護者が子育てに関する悩みや課題を抱え込むことなく、子育てに喜びや楽しみを持ち、安心して子どもを生み育てることができる社会を形成していくことが必要です。
この条例が制定されることで、真に本市における子ども・子育て支援の指針となるよう、市議会としても継続してその進捗を確認していきたいと考えます。

なお、それぞれの人の「子どもを守る」ことの捉え方にばらつきが大きいとも感じます。
市民への啓発においては、今も「守られていない」子どもへの配慮とともに、普遍的に守られるべき子どもの権利、とりわけ、子どもには意見を表明する権利があること、大人は子どもが意見表明できる安全・安心な場をつくることの必要性を、大人と子どもそれぞれにそれぞれの方法でしっかりと伝え、この条例制定を機に「子どもの声を聴く」枚方市をつくっていくことを切に要望します。

条例が制定されても市民一人ひとりに浸透するのは並大抵のことではありませんが、子どもたちは「今」も日々生活し、成長しています。
そして、さまざまな課題を抱え、悩んでいます。
子どもを守る取り組みは待ったなしの状況です。
不断の努力をもって、条例の周知啓発と具体的な対策を迅速に取り組んでいただくようお願いし、本議案を原案可決とすべきであることを申し上げ、討論といたします。