学校教育のコロナ禍への対応について

令和2年6月定例月議会 開催日:2020.6.22

  • 臨時休業期間について、当初は3月中の休校だったものが、5月のGW明けまで延長されるとともに予定されていた登校日も中止となり、その後は6月までの間、週に1~2回の分散登校が実施されることとなりました。
    この間、子どもたちの学びを保障するために、各学校ではどのような取り組みを行ってきたのか、教育委員会からの指示の経過を含めてお伺いします。
  • 《学校教育部長》次に、「3.学校教育のコロナ禍への対応について」お答えします。
    2月末に国の臨時休業の要請を受け、3月24日までを臨時休業とし、各学校において、学習課題プリント等を配付するとともに、オンラインにより活用可能な学習コンテンツの紹介等を学校園メール配信システム「ミルメール」にて家庭に周知しました。
    その後、緊急事態宣言による5月10日までの臨時休業期間中には、学習コンテンツの個人IDを、児童・生徒に対して発行するとともに、全家庭へ「自主学習ノートのすすめ」のリーフレットを配付しています。
    また、各学校に対しては、復習や予習に関する課題を作成、配付する中で、本学習コンテンツを積極的に活用することを指示しています。
    さらに、5月11日以降、来校日が開始されてからは、1日あるいは1週間の学習計画表や1時間ごとの学習内容等を記載した時間割表などを作成するよう指示しており、児童生徒がより規則正しく計画的に学習に取り組めるよう努めてまいりました。
  • 学校教育のコロナ禍への対応について 学習面に関しICT機器を活用した学習コンテンツの取組を進めてきたとのことですが、ICT機器等の環境がない家庭もあります。
    教育委員会では家庭のICT環境について調査をしたとお聞きしましたが、どういう経緯で、いつ実施し、またどういう結果であったか、お伺いします。
  • 《学校教育部長》各家庭へのICT環境調査は、5月の連休明けに実施しました。
    調査の結果、インターネット環境がない家庭や学習できる端末を持っていない家庭は、全児童生徒の3%にあたる約1000人となっております。
  • ICT環境調査ですが、なぜ5月の連休明けの実施になったのでしょうか。
    3月の臨時休業があった段階で、こうしたICT機器の活用も必要性が認識されていたはずで、それならば状況の把握は何より第一だったはずです。
    逆に言えば状況が把握できておれば、取れる手段もあったとも言えます。
    ワンテンポ、ツーテンポ遅れの感が否めません。
    ご答弁や、これまでの全員協議会での報告等々から、教育委員会の指示や学校の取組はわかりましたが、このような対応の一つ一つが家庭にきちんと伝わっていなかったために、子どもや保護者からの信頼感が大きく損なわれているような気がしています。
    休業期間中の学力等に対する総括をどのように考えておられるか、教育長にお伺いします。
  • 《教育長》休業期間中については、学習計画表の提供や、家庭のICT機器等を活用したオンラインと紙媒体の併用による家庭学習の実施、クラウドサービスを活用した動画の配信等を行うとともに、提出物の確認やオンライン上における学習状況の把握等によって、学びの保障を進めてまいりました。
    しかし、学校によって取組内容に差異が生じ、子どもたちや保護者の皆様の中には、不安な気持ちになられた方が少なからずいらっしゃったことについては、重く受け止めております。
    普段なら、それぞれの学校に委ねていてもよかったかもしれませんが、このような非常事態の中においては、保護者が求めていることをしっかり受け止め、教育委員会として統一的な対応指示を明確にすることが保護者の安心感をかもしだすことに繋がった、と深く反省しているところです。
    今後の授業や家庭学習において、ICT機器も活用しながら、確実に学力の保障が行われるよう努めてまいります。
  • ご答弁のとおり、保護者と子供あってのことであり、今後はそうした認識のもと取り組みを進めていただきたいと思います。
    さて臨時休業期間中、「学校からは電話連絡がない」と保護者からの声が多数届いていたと聞いております。
    私もそうした声を実際に聞きました。
    こうした話を聞くたび、私は「先生方は子どもたちが休みの間、何をしているのか気にならないのか。」と疑問に感じました。
    実際の所、学校では子どもたちの状況把握をどのようにされていたのでしょうか。
  • 《学校教育部長》 臨時休業期間中、気になる変化が見られた児童・生徒や、前年度不登校であるなど、支援を要する児童・生徒の見守り活動を進めていたところですが、全児童・生徒の家庭へ電話連絡等ができていない学校もあり、このことについては重く受け止めております。
  • 気になる変化が見られた児童・生徒や支援を要する児童・生徒の見守り活動を進めていたというご答弁でした。
    しかし、此度は枚方市内すべての学校が臨時休業していたわけであり、この期間は全ての児童・生徒に心身ともに様々な影響があったことと思っています。
    こうした児童・生徒たちに対する認識をしっかりと教育委員会発信で全学校に共有し、何らかの形でコミュニケーションを継続的に取るべきであったと思います。
    引き続き、子どもたちの状況をしっかりと把握し、対応いただくことをお願いしておきます。
    さて学校の臨時休業期間中、国の緊急事態宣言に伴い感染拡大防止策の一環として、教員も在宅勤務や時差出勤等に取組んでおられたと聞いております。
    教員は在宅勤務中どのような業務に取組んでいたのか、また学校現場からの声としてどのような課題があったのか伺います。
  • 《学校教育部長》学校再開時に備え、教員の感染リスクの低減や教員間のクラスターを防ぐため、学校運営に支障のない範囲で在宅勤務や時差出勤の取組を進めてまいりました。
    在宅勤務中の教員の主な業務としては、課題の作成や再開後の授業の準備、会議資料や保護者配付資料の作成、課題の点検などです。
    学校現場の声としては、在宅勤務や時差出勤により教員間の情報共有や児童生徒とのコミュニケーションを図ることに苦慮していたと報告を受けています。
  • 臨時休業期間中、学校現場の先生方は子どもたちと対面することもできず、制約のある中で力を発揮することも難しく、ご苦労されていたことだと思います。
    学校現場におけるICT環境の整備についてはこれまでも早急に進めていくことが言われてきたところですが、今回のコロナによってその必要性がより明確になったのではないでしょうか。
    ICT環境が整っていれば、教員の在宅勤務等の取組の中においても校務に支障をきたすことなく、児童生徒の学習支援を進めることができたのではないでしょうか。
    今後、第二波、第三波も心配されていますが、そのような事態に備え、教員の校務支援に係るICT環境整備について今後どのように進めていこうと考えておられるのか見解を伺います。
  • 教員に対するICT機器の環境整備ですが、8月上旬を目途に、小中学校の教員にタブレット端末を配備してまいります。
    タブレット端末が配備されることで、教職員同士の情報共有はもちろん、在宅勤務等の措置となった場合でも、作成した課題の配信等が可能となることから、遠隔による児童生徒への学習支援ができるようになると考えております。
  • 今後、再び在宅勤務等が必要となった場合の先生方の業務については一定理解しました。
    そして『できるようになる』というご答弁でしたが、この臨時休業の間に求められていたことであると思いますので、実際のときにもたつくことの無いよう、具体的に取り組みを進めていただきたいと思います。
    さて新型コロナウイルス感染症については、今後長丁場になるとの見解から国は「新しい生活様式」を提言しました。
    本市において、「新しい生活様式」を定着させ、市民の健康度を上げていくためには、ご家庭だけではなく、小中学校においても、子どもたちが感染症について理解し、感染症を防ぐための意識を高め行動できるような「予防医療の教育」が必要だと考えます。
    このことについて、学校現場の立場からどのような取り組みを考えているのか、お伺いします。
  • 《学校教育部長》現在、学校生活においては、マニュアルや文部科学省作成の冊子等を活用し、児童生徒が感染予防の正しい知識を身につけ、適切な行動ができるよう、学校生活を通して手洗い、咳エチケットやお互いの距離、免疫力を高めるための生活習慣などを指導するよう指示しています。
    「予防医療の教育」につきましては、小学校の「体育科」、中学校の「保健体育科」の保健分野において、小学3年生から中学3年生まで、健康な生活を送るための生活習慣や、感染症の予防等について、子どもの発達段階に応じた内容の授業を行っていきます。
    授業では、ただ単に知識を教えるだけでなく、生涯を通じて健康の保持増進ができるように、課題を見つけ、その解決をめざした活動を授業に取り入れていきます。
  • 今後、感染拡大を予防していく上で、学校内での取り組みを継続し、こうした感染症や免疫に対する認識をアップデートしていく必要があります。
    生涯を通じて健康を保持増進できるよう、生活習慣として当たり前に身に着けられる取り組みを要望します。
    さて小中学校の臨時休業期間が長期間となり、子どもたちの日常生活が大きく変わり、メンタル面や生活習慣が崩れている子どもが少なくないと思います。
    このような状況下で、6月15日に学校が通常再開され、子どもたちは、現在も不安な気持ちでいっぱいなのではないでしょうか。
    無気力等の理由で、遅刻や欠席が繰り返され不登校状態になっていくことや、大勢の人がいる場所に出入りできない等の集団生活への不安を訴えることが考えられます。
    このような状況に対し、どのように対応しているかお伺いします。
  • 《学校教育部長》長期にわたる臨時休業により、これまでは「気にならない」児童・生徒でも、「気にしなくてはならない」児童・生徒になっている可能性があることから、学校では、児童・生徒の些細な変化を見逃さずとらえ、一人ひとりの不安感や困り感に対し、心に寄り添った丁寧かつ迅速な対応が必要であると認識しております。
    そのため、担任だけでなく、心の教室相談員やスクールカウンセラー、養護教諭等も相談を受けることができるよう、校内の教育相談体制を整備しております。
    学校再開後は、児童・生徒の状況により、注意をしながら、適切な心のケアに努めてまいります。
  • ところで、新型コロナウイルス感染症拡大防止により、長期の臨時休業となり、6月に入り学校が段階的に再開していますが、新型コロナウイルス感染症に対する強い不安や恐れから、感染者等に対する偏見や差別が生まれるのではないかと懸念します。
    感染者、濃厚接触者とその家族、新型コロナウイルス感染症の対象や治療にあたる医療従事者や社会機能の維持にあたる方とその家族等に対する偏見や差別は断じて許されるものではありません。
    偏見や差別の防止に向けて、学校ではどのように対応しているのか、お伺いします。
  • 《学校教育部長》教職員に対しては、新型コロナウイルス感染症の適切な知識を身につけること、感染者やその家族、医療従事者などへの配慮ある対応を行うよう指示するとともに、児童・生徒へは生徒指導上の配慮等を行うように、と各学校に指示しているところです。
    今後も、新型コロナウイルス感染症に係るこうした人権侵害事象が生起しないよう取り組んでまいります。
  • 各学校には指示をしているものの、それが本当にどれだけ現場で共有・徹底されているのか疑問です。
    新型コロナウイルス感染症のご家族に対し、一部で人権侵害ともとれる対応があったお話も聞きました。
    特にこれからは学校も本格再開されてくることから、学校現場での対応を要望します。
    これまでの質疑と報告で、様々な対応をしてもらっていたことは一定理解しましたが、教育委員会として先の先を見通した上で、どういったことを備えていく必要があるのか明確に指示をしていくべきです。
    例えば、夏場におけるマスク着用をどうすべきかなど、対応が次々に求められてくると思います。
    また、コロナ禍において、学校ごとに状況は違うと思いますが、教育委員会では、学力等に関する取組における、学校ごとのカルテを作成しているといったことをお聞きしました。
    こういった取組は有効であると思いますので、全校に対して、明確な指示を伝えることはもちろんのこと、学校の状況をきちんと把握し、きめ細やかに対応をしていくよう要望しておきます。