生活保護制度の運用について

平成24年決算特別委員会(第4日目) 開催日:2012.10.22

  • まず、生活保護制度の運用について、お尋ねします。

    全国的に生活保護受給者が増加している中で、本市の生活保護扶助費の総額について、どのように現状把握しておられますか。また、今後の見込みについて、お聞かせください。

  • 笠井正治生活福祉室課長
  • 前年度に比べ7.9%、9億4,010万5,000円増加し、今後も扶助費は増加傾向にあることがわかりましたが、それでは、ここ3年の保護の申請、廃止の件数の推移について、お尋ねします。
  • 申請件数については、平成21年度1,097件、平成22年度1,013件、平成23年度967件と減少傾向となっております。これは、平成20年秋のリーマンショックによる景気低迷により平成21年度の申請件数が前年度より361件も増加したものの、平成21年10月から開始された緊急雇用対策等の影響などにより、その後の申請件数が落ち着いてきたと考えています。

    また、廃止件数は、平成21年度524件、平成22年度536件、平成23年度594件と増加傾向となっておりますが、これは、就労支援体制の強化に伴い、稼働収入の増加による廃止が増加したことなどにより廃止件数が増加したものと考えています。
    笠井正治生活福祉室課長

  • 申請については、ここ3年は緊急雇用対策等の影響で1,097件、1,013件、967件と減少傾向にあり、廃止については、就労支援の取り組みや収入の増加により524件、536件、594件と増加傾向にあることがわかりました。

    それでは、少し話が変わりますが、生活保護受給者のうち外国人の方は何人おられますか。また、就労を目的に日本に来られている外国人の方は保護を受けられるのか、お伺いします。

  • 平成24年8月末現在、保護受給者総数7,978人のうち外国人の方で受給されているのは298人で、全体の3.74%となっております。

    また、外国人の方の保護については、厚生労働省の通知により、活動に制限を受けない永住や定住、または日本人の配偶者等の在留資格を有する外国人の方とされております。
    森 裕治生活福祉室課長

  • 就労や留学の活動系ビザの外国人の方は資格がなく、永住や定住の外国人、配偶者等の在留資格を有する方が対象となることがわかりました。

    数字をお聞きする限りでは、枚方市41万人に対して全体の保護受給者総数が7,978人、平成23年12月末日で枚方市在住の外国人の方は3,995人でしたので、外国人の方の保護率が高いように見受けられますが、外国人の方が保護から自立するために、どのような支援をされていますか。

  • 外国人の方の中でも日本語の読み書きが十分にできないことが就労の阻害要因となる場合が多く、現在の雇用情勢ではなかなか就職に結び付かないのが実情です。このため、このような方々には、日本語教室への案内や外国人雇用に実績がある企業に関する求人情報の提供を行うなどの就労支援を行っているところです。
    森 裕治生活福祉室課長
  • 読み書きが十分でないことが阻害要因ということですが、今、答弁にもありましたとおり、市内には幾つかの日本語教室があります。民間やボランティアでの日本語教室を通して日本の言語、生活習慣や文化を学んでいただくことで就労につながる機会もあると思います。引き続き自立につながる支援をよろしくお願いします。

    さて、扶助費の中で一番多いのが医療扶助と聞いていますが、適正な扶助を行うためには、その内訳を精査していく必要があります。

    そこで、医療扶助の内訳を伺います。

  • 医療扶助費の総額は57億348万9,000円で、そのうち治療費が56億8,751万4,000円で99.7%を占めており、そのほかに医療機関への通院交通費として1,597万5,000円を支給しています。
    笠井正治生活福祉室課長
  • 医療扶助については、6月議会でも質問いたしましたが、扶助費総額128億2,513万6,000円のうち57億348万9,000円と約44.7%、大きな割合を占めています。レセプトチェックや健康相談員等による医療扶助の適正化については引き続き要望します。

    次に、生活保護費のうち生業扶助費の状況について、お伺いします。また、生業扶助を受けた後、どのような結果となったのかもお尋ねします。

  • 平成23年度の生業扶助は5,743万2,000円で、そのうち高等学校等修学費が5,652万6,000円となり、生業扶助費全体の98.42%を占めております。これは、平成17年度より、高校に就学し卒業することが自立助長に効果的であることから、生業扶助として認められるようになったもので、平成23年度では285人が支給対象となりました。支給対象者のうち、昨年度高校3年生だった者が85人で、進路としましては、今年4月より就職した者が23人、大学に進学した者が36人、保護廃止となった者が10人、留年が5人、求職中の者が11人となっております。

    なお、求職中の者に対しては、就労に向けた助言や指導を継続的に行っているところです。
    森 裕治生活福祉室課長

  • 御答弁から、生業扶助費5,743万2,000円のうち、高等学校等修学費が5,652万6,000円と、多くを占めていることがわかります。受給者にとって、高等学校を卒業した後、就労や進学などの進路があるかどうかは大きな分かれ道だと思います。自立に向けてのサポートをしっかり行っていただきたいです。

    それでは、その他の生業扶助費の状況について、お伺いします。

  • そのほかの生業扶助として技能習得費がありますが、平成23年度では、パソコン講座やヘルパー養成講座などにかかる授業料、教材費などについて、15人に約76万円を支給し、支給対象者のうち10人が就職または保護の廃止となりました。

    なお、就労に結び付かなかった者に対しては、取得しました資格や免許を生かした職種を中心に求職活動を行うよう助言、指導を行っております。
    森 裕治生活福祉室課長

  • それでは、生活保護における扶養義務調査について、お尋ねします。

    枚方市では、扶養義務調査をどのようになされるのか、また、扶養義務者に市の職員が何人おられるのか、お尋ねします。

  • 扶養義務調査は、毎年1回、扶養義務者の職種にかかわらず、調査を実施しております。平成23年度は、保護継続中の4,660世帯のうち、扶養義務者を有する1,313世帯を対象に、2,215件について調査を実施しました。調査に当たっては、金銭的な扶養の可能性のほか、日常生活での精神的な支援についても確認しているところです。また、今年8月から全受給世帯に対して、定期訪問時及び来庁時に扶養義務者の勤務先や収入に関する聞き取り調査を実施しております。

    さらに、芸能人の扶養義務が問題となった報道以後、より適正な扶養義務調査を行うため、扶養義務者に対して扶養届の家族状況欄に勤務先を記入するように改めたところ、現時点で、扶養義務者に市職員が11人いることを確認しております。
    森 裕治生活福祉室課長

  • 4,660世帯のうち2,215件について調査を実施され、金銭的な扶養のほか精神的な支援についても確認されていることがわかりました。また、扶養義務者の中に市職員の方が11人いることもわかりました。

    一くくりにできないにしても、今、市職員の方というのは比較的安定しているお仕事の方だと思いますので、法律では要件に入っていないということですが、扶養いただけるように働きかけをしっかりと行っていただきたいです。

    最後に、生活福祉室として、扶助費に対する今後の取り組みについて、お伺いします。

  • 医療扶助については、平成23年度から導入された電子レセプトを活用し、レセプト点検事業を行い、医療機関からの不適切な請求について早期に是正を指導しております。

    また、不正受給への対策としては、毎年、保護受給者の所得調査を実施し、未申告の収入については不正受給として返還を求め、悪質な不正受給事案については刑事告訴を行っており、今後も国の補助事業も活用しながら、調査の強化策を検討してまいります。

    さらに、働くことのできる方を対象に就労支援事業を行っていますが、平成24年度より保護の申請時点から就労支援プログラムに参加できるよう改め、早期に就労し自立できるよう取り組みを強化しております。

    今後も、国の動向を見ながら、それぞれの業務において適正な保護の実施に努めてまいります。
    森 裕治生活福祉室課長

  • 生活保護制度を本当に必要な人が活用できるように、不正受給については補助事業の活用により調査の強化を要望します。

    また、御答弁にもありましたとおり、就労支援も効果が上がってきていると思いますので、取り組みの強化をよろしくお願いします。